（青簡舎 2021年3月 ISBN978-4-909181-30-5）
目次
Ⅰ 思想と造形
朴亨國 インド文化圏における聖なる場（神域）の条件――クメール遺跡を中心に
藤元裕二 元時代後期水陸画の一例――茨城県桜川市・天台宗月山寺所蔵「伝十仙図」について
大澤慶子 足利・鑁阿寺不動明王坐像をめぐる思想と造形――院政期における不動明王像と女性の信仰
レイチェル・サンダーズ（安藤千穂子訳） ハーバード大学美術館蔵「聖徳太子二歳立像」に秘められた意味
石川温子 兵庫・極楽寺蔵「六道絵」の構想――説話図像を中心に
ミリアム・チューシッド 〔要旨〕中世日本の地獄絵にみる救済――イメージ、テクスト、儀礼を中心に*
本多康子 遊行上人縁起絵における熊野権現神託場面（熊野成道）について
髙宮なつ美 別府市長泉寺所蔵「長泉寺乳薬師縁起曼荼羅図」について――近代掛幅縁起絵についての一考察
Ⅱ 物語と絵画
川名淳子 徳川・五島本「源氏物語絵巻」「鈴虫」第二段を読む
菊地絢子 土佐光則における古典の再結晶化――源氏絵図様の再発掘
ワイイー・チョン 〔要旨〕ロード・アイランド・スクール・オブ・デザイン（ＲＩＳＤ）の「白描源氏物語画帖」について*
柳澤恵理子 メトロポリタン美術館所蔵「保元平治合戦図屏風」再考――『保元物語』『平治物語』の絵画化と図様の継承
土谷真紀 「釈迦堂縁起絵巻」異国場面の風俗描写をめぐって――画嚢としての絵巻
薄田大輔 狩野益信筆「堀川夜討絵巻」にみる江戸狩野派の物語絵巻制作
谷嶋美和乃 浮世絵における「大織冠」の絵画化について
廣海伸彦 展覧会の語り――「霊廟」からの蘇生を目指して
Ⅲ フレームと景観
メリッサ・マコーミック（佐野みどり訳） フレームとパラテクスト――『源氏系図』と血脈の物語
上野友愛 「道成寺縁起」と在地性――門前風景をめぐって
高橋真作 狩野元信印「富士曼荼羅図」の構造と機能
タリア・アンドレイ 〔要旨〕交錯するフレーム――「清水寺参詣曼荼羅」における五条橋の役割*
久野華歩 「珍皇寺参詣曼荼羅」の制作背景
エヴァ・マホトカ（佐野みどり訳） 美術史を超えて――ヴァナキュラー・マッピングとしての日本近世風景版画
松島仁 徳川から明治へ――近世・近代日本の心性に屹立する富士山
永井久美子 簾をかかげる清少納言図の確立と垣間見の視点――土佐光起の以前以後
Ⅳ 古典知と創造
クリストファー・カージー 〔要旨〕日本美術史における批評としての古典主義*
藤原重雄 東寺本『弘法大師行状絵巻』の披覧記事
岡本麻美 絵巻をうつす――「松崎天神縁起絵巻写」小考
呉暁墐 〔要旨〕異文化におけるイコノロジーの変容――室町水墨鷺図を中心として*
三宅秀和 狩野光信様式の達成と永徳画との関わりについて
フランク・フェルテンズ 墨と金の摩擦――フリーア美術館所蔵の雲谷等益筆「瀟湘八景図屏風」について
田中知佐子 蕪村と呉春の「桃源図」―受け継がれるもの ――呉春「武陵桃源図屏風」（大倉集古館蔵）を中心に
関彩与子 酒井抱一の古典歌仙絵の受容――メトロポリタン美術館蔵 酒井抱一筆「三十六歌仙図」の解析を通して
椎野晃史 再考 山本芳翠筆《浦島》――帰郷する群像表現を起点として
田中純一朗 岸田劉生《道路と土手と塀（切通之写生）》をめぐる断想
カタリーナ・ローデ 〔要旨〕流派はイデオロギーを超えるか――森狙仙の猿と川端玉章筆「群猿之図」を中心に*
佐藤有沙 安田靫彦における古陶磁愛玩――岡田美術館蔵「加彩楽舞俑」を一例として
Ⅴ かざりの文化
趙声良・張春佳（清水智子訳） 莫高窟北朝期の装飾文様――忍冬文の源流と類型
金寅圭 平安後期の美術にみられる高麗の浄土の造形について――十一世紀の高麗鐘の飛天との関係を中心に
海老澤るりは 東京藝術大学 銅造菩薩立像に関する一考察――その装飾性をめぐって
櫻庭美咲 マイセン製柿右衛門様式磁器写し物にみる異文化受容の特質
大平奈緒子 明治三十年代京都の図案における津田青楓と小美術会
中村祐美子 ジョアン・ミロとバルセロナの民芸サークル――一九五〇年日本民芸展を起点として
冨澤治子 石内都の写真と「かざり」
*和文要旨を掲載。英文本文タイトルは下記。和文論文は英文要旨を掲載。
Miriam Chusid, Mediating Salvation in Medieval Japanese Hell Paintings: Image, Text, Ritual
Wai Yee Chiong, An Introducion to the Rhode Island School of Design (RISD) Museum's Monochrome Tale of Genji Albums
Talia Andrei, Crossing Frames: The Role of Gojo Bridge in Kiyomizudera Sankei Mandara
Kristopher W. Kersey, The Classical as Critique in Japanese Art History
Xiaojin Wu, Transformations of Iconographies of the Egret in Muromachi Painting
Katharina Rode, Genealogy over Ideology? A Closer Look at Kawabata Gyokusho's Group of Monkeys